1. マラソン大会開催で実施しなくてはならないこと

(1) 開催前に目的を今一度考える

マラソン大会は走ることを趣味にしている人にとって、楽しい時間を与えてくれる素晴らしいものです。また、健康づくりにも役に立ちます。

しかし、主催者である貴殿がマラソン大会を開催する目的は何でしょうか?その目的を考え直してみましょう。

特に、それが第1回の大会であれば、なおさらのことです。たとえば、マラソン大会で「町おこしをしたい」というのが目的だとします。年1回のマラソン大会で本当に「町おこし」ができるでしょうか?多くの主催者は、大会単独での収支が赤字になり、「町おこし」には各地方自治体の予算を使うなどするのが一般的です。

目的を達成するためにやることが、本当に「マラソン大会」で良いのか、もし、まだ変更が可能ならば、そこから考え直してみるのがよいでしょう。

マラソン大会を開催するには数多くの業務があります。目的を問いなおすことで、コストをかけるべきところ、コストをあまりかけなくてよいところがはっきりしてくるはずです。たとえば、マラソン大会には計時が必要と考えられていますが、計時が必要のないランニング・イベントも開催されるようになってきています。


(2) 実行委員会を作る

マラソン大会の実施が決まったら、実行委員会を作り、大会をディレクションする責任者・リーダーを決めます。多岐に渡る業務を実行委員会のメンバーに分担し、その業務へのコミットをしてもらいます。


(3) 業務をリスト化する

マラソン大会開催には、やらなければならないことが数多く存在します。その主なものを下に挙げました。この他にも細々とした業務が存在します。このリストを参考にして主催する大会で実施しなくてはならない項目をリスト化してみましょう。

会場確保
道路使用許可申請
救急体制確保
宿泊施設・交通手段確保
コース距離測定
参加者への告知(WEB,パンフレット等)
保険加入
参加者募集
ボランティア募集
運営マニュアル作成
運営スタッフ管理・教育
給水・給食
コース安全管理・警備
協賛(物品・金銭)の獲得
イベント進行管理
開会式・閉会式(表彰)管理進行
受付業務
給水・給食
会場設営
仮設トイレ準備
参加賞準備
コース備品準備
計時
記録証発行
順位表掲示
計時関連小物(ナンバーカード、記録証台紙、安全ピンなど)制作・発注


(4) 発注業務と内製業務、予算配分を決める

上記にあげたように、マラソン大会を主催するには数多くの業務がありますので、業務を委託するのが一般的です。

他のイベント同様、予算がある場合は、元請けを信頼のおける会社1社に決めると主催者の業務負担を大きく減らすことができます。逆に、予算が少ないためコストを抑えたいということであれば、主催者でできることは実施し、できない部分を業者に委託する方法をとります。業務を部分委託する場合は、各業者の業務の進行管理をする必要がありますので、主催者がやらなければならないことは多くなり、その分苦労は多くなります。

業務ごとに予算配分を決めます。安全管理等で省けない項目はありますが、予算次第で実施しなくてもよい項目があれば実施しないという決断も必要になります。削除する項目に迷ったら大会の目的を思い返すとよいでしょう。

(5) 見積もりをとる

業務を委託する場合は、必ず複数社に見積もりをとりましょう。なるべく詳細に項目を出してもらうとよいです。ただし、ホームページに書いてあることでも、すべてその会社でできるとは限りません。下請けや協力会社に発注している場合もありますので、その見積もり依頼をした会社が何を得意としているのかを聞いた方がよいです。

また他社に比べて見積もりが高ければ、なぜ高いのか聞いてみます。サービス内容が手厚く、高くても良いサービスで納得できる場合もあるからです。もちろん、実施内容が同じであれば値段交渉をします。

(6) 業者を選定する

見積もりがでてきたら、業者を選定します。単純に価格が安いからといって飛びつくのは厳禁です。実際に安い業者に頼んだ場合に業務遂行能力が低くトラブルになるケースも散見されます。実際にマラソン大会を開催している実績があれば、その業務遂行の実態をマラソン大会の担当者に聞くのがベストです。

部分委託する場合は、業務の範囲を明確にして契約しましょう。また、業務が遂行できない場合は、業者の業務遂行能力だけでなく、不可抗力(天候不順等)によってもあります。台風や降雪などでマラソン大会が開催できない場合でも支払が発生しますので、開催できなかったときの支払の取り決め等もしておくのがよいでしょう。

(7) 業務の進捗管理をする

全部一社に委託する場合は、元請けとの打ち合わせを定期的に行い、業務の進捗を確認します。

部分委託をする場合は、全体スケジュールと業務のスケジュールを調整しながら進めます。細かい話になりますが、たとえば、ナンバーカードに氏名等を印刷する場合は参加者募集が終了してからでないとできません。各業務間のスケジュール調整が必要になってくることに注意しましょう。

委託方法に関わらず、発注内容と食い違いが生じた場合は、早めに主催者と委託業者で確認するようにします。


(8) 大会を開催する

事前準備をすべて終わらせて大会を開催します。参加者にとって楽しく安全なイベントを開催しましょう。

ただし、イベントには不測の事態が発生するものです。臨機応変にイベント業務を遂行します。不測の事態に備えて、指揮命令系統をはっきりさせておくことも肝心です。

(9) イベントをふりかえる

イベントが終了したら、良かった点、悪かった点をあげて、反省会をします。委託業者も入れてやることをおすすめします。業務内容も細部にわたり精査することで、次回開催の改善につなげていきます。

参加者へアンケートを実施することは、主催者の目線では気付かなかった点をさぐるのに役に立ちます。マラソン大会の次回改善のために、ぜひ実施しましょう。その内容も反省会での資料にするとよいでしょう。

最終的に一番最初に掲げた目的が、マラソン大会開催によって実現できたかを総括しましょう。